福祉をもっと社会にひらく。 大山崎『B.B.B HOUSE』のネクスト福祉な取り組み

2026.09.04

福祉をもっと社会にひらく。 大山崎『B.B.B HOUSE』のネクスト福祉な取り組み

京都府大山崎町の『アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)』に、福祉をもっと社会にひらくプロジェクトハウス『B.B.B HOUSE』が誕生。カフェにバニラ、ものづくりに販売まで。一見バラバラな取り組みをひとつの考え方で連動させた、ちょっと気になるその中身を現地でじっくり覗いてきました。

ATVKに誕生した『B.B.B HOUSE』。福祉と地域をつなぐ新しい拠点

福祉を新しい仕事や価値につなげるプロジェクトハウス

福祉をもっと社会にひらき、新しい仕事や価値につなげていくための実験拠点『B.B.B HOUSE』。ATVKの一角に生まれたこの場所で目指すのは、障害のある人の働き方を支援するだけではなく、福祉そのものを新しい社会循環の中に組み込み直すこと。カフェや商品、農、ものづくりなど、少しずつ性格の違う取り組みをひとつ屋根の下に集めた、ネクスト福祉なプロジェクトハウスです。

カフェ、バニラ、ものづくり。館内に広がる多彩な取り組み

館内には、就労継続支援B型カフェ『EFUDE』をはじめ、京都発のバニラブランド『京都バニラビーンズ』、そのバニラの栽培や研究を行う『Vanilab』、地域の工芸品や福祉にまつわるプロダクトを扱う『Bの棚』などが一堂に。食べたり、買ったり、育てたり、つくったり。入り口はバラバラでも、すべてが福祉や地域との新しいつながりへと続いていく構成に。

京都発のバニラブランド『京都バニラビーンズ』と研究拠点『Vanilab』

左_ 京都バニラビーンズ 代表/北辺佑智さん、右_京都バニラビーンズ 広報ディレクター/田中 英美子さん

京都から広がる国産バニラの可能性。栽培・研究から体験まで

ここで、そんな『B.B.B HOUSE』全体のブランディングやプロデュースを手がけつつ、バニラブランド『京都バニラビーンズ』と、バニラ栽培/研究拠点『Vanilab』を展開するクリエイティブプロダクションのお2人にお話を聞いてみました。

「以前、海外でコーヒー農園の指導に携わる中で、バニラに出会ったんです。その時、これが京都で育てられれば全国にも可能性が広がるんじゃないかな、と思いました。そこで、この場所に『Vanilab』をつくり、栽培と研究を始めました」(北辺さん)
「バニラの生育を見て、香りを知って、自分だけのバニラシュガーをつくる体験会も開催しています。最後はアイスにかけて味わうところまで。五感で楽しんでもらえる内容です」(田中さん)

建物2階でバニラを栽培/研究する『Vanilab』。バニラ農園体験も実施。

異なる香り付けがされたバニラビーンズやバニラシュガーなどの商品も販売中。

独創的な香りづくりも、福祉につながる商品づくりも

『B.B.B HOUSE』の2階で展開する『Vanilab』ではバニラの栽培・研究を進める一方、『京都バニラビーンズ』では、バニラを樽材の中で寝かせ、木の香りをまとわせる“樽熟”にも挑戦。杉・檜・ヒバの3種類で、それぞれ異なる香りが楽しめる一風変わった1本は、一度試す価値あり。
「1本ずつ味や水分値を確認しながら管理して、さらに樽材で寝かせることで香りの違いも引き出しています」(北辺さん)

また『京都バニラビーンズ』で展開するフィナンシェやキャラメルは、就労支援の現場で製造。商品づくりそのものを福祉の仕事につなげる取り組みを通して、バニラを軸に、いくつもの可能性を生み出しています。

就労継続支援B型カフェ『EFUDE』。地域にひらく新しい働き方

EFUDEサービス管理責任者/木下雄一さん

『EFUDE』の名に込めた、地域に色をつけるカフェづくり

福祉と地域をつなぐ『B.B.B HOUSE』の、もうひとつの大きな柱。それが、『社会福祉法人 向陽福祉会』が運営する就労継続支援B型カフェ、『EFUDE』。障害のある人が、それぞれの得意なことやペースに合わせて働きながら、地域の人も気軽に立ち寄れる場所です。

「『EFUDE』という名前には、絵筆で地域に色をつけていくような場所にしたい、という思いがあります。誰でもふらっと来て過ごせる、地域にひらかれた場所にしていきたいですね」と、カフェ管理者の木下さん。
これまで高齢者福祉を中心に取り組んできた向陽福祉会にとって、就労継続支援B型とカフェの運営は初の試み。福祉の経験をベースにしながら、新しい働き方を模索しているそう。

看板メニューのひとつ、手作りジャムのソーダ割り。この日はオレンジジャム仕立て。

『京都バニラビーンズ』のバニラシュガーを使用したトーストも提供中。

規格外の食材を生かし、それぞれの得意を仕事に

カフェで提供するのは、規格外など店頭に並びにくい野菜を使ったランチメニューや、手づくりのジャム、ドリンクなど。その調理や接客も、利用者それぞれの得意なことに合わせた仕事のひとつ。
「接客や調理補助が得意な人もいれば、裏でジャムづくりに取り組む人もいます。それぞれの特性や希望に合わせて、いろいろな仕事を用意しています」。

規格外の食材なども生かしたメニューと、のんびり過ごせる空気感。福祉の場でありながら、気軽に日常使いできるカフェとして、ついつい立ち寄りたくなる1軒。

地域の食・工芸・プロダクトが集まる『Bの棚』

背景の異なる“いいもの”が、ひとつの棚に集合

『EFUDE』でひと息ついたら、館内でもうひとつ覗いておきたいのが『Bの棚』。地域の食や工芸、福祉にまつわるものなど、さまざまな背景を持つプロダクトが並ぶ販売スペースです。ジャンルもつくり手もさまざまだからこそ、ひとつの棚の中に思いがけない出会いがちらほら。

食品から器、作家ものまで。手に取るほど広がる発見

並ぶのは、ジャムや調味料などの食品から、器などの実用品、そして作家ものの雑貨まで、実に多彩。先ほど紹介した『京都バニラビーンズ』や『EFUDE』の商品も、ここで購入できます。
地域で生まれた味や、職人の手仕事、福祉から生まれたものづくり。気になるものを手に取っていくうちに、その背景にある土地や人のことまで、ちょっと知りたくなるラインナップに。

福祉を日常の中へ。『B.B.B HOUSE』がつくる新しいつながり

福祉を特別なものとして切り分けるのではなく、日常の中へと溶け込ませる。そんな発想から、食やものづくり、研究、販売まで、さまざまなコンテンツをひとつ屋根の下に詰め込んだ『B.B.B HOUSE』。一見バラバラに見える取り組みも、その根っこにあるのは、福祉を起点に新しい仕事や価値、地域とのつながりを生み出していくこと。

そんな新しい福祉のカタチを体現するプロジェクトハウス。ここからどんな新しい循環が生まれていくのか、今後の展開にも注目です。

B.B.B HOUSE
住所:京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字鏡田30-1 ATVK内 MAP
URL:https://bbb-house.jp/



Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto


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