2026.09.08
京都府大山崎町にある『アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)』。これまでHESTA LIFEでも紹介してきた『HESTA CROSS』や『B.B.B HOUSE』も、実はこのATVKに集まる取り組みのひとつです。では、そもそもATVKってどんな場所? アートとテクノロジーが交わることで、一体何が生まれるのか。今回は『ATVK』の支所長・岡田さんに、誕生の背景から施設の仕組み、ここで始まっているさまざまな活動まで、じっくり聞いてみました。

ATVK支所長/岡田宏一さん
『ATVK』の運営母体『公益財団法人 京都産業21』の、イノベーション統括本部/イノベーション拠点室長。同施設では支所長として、施設の運営から入居企業や大学、アーティストなどのマッチングまで、新たな産業や価値の創出に取り組む。
目次

アートとテクノロジーを軸に、企業や大学、アーティストなどが交流し、新たな産業や価値の創出を目指すオープンイノベーション拠点、『アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)』。
その敷地内には、交流の中心となる「交流棟」をはじめ、各入居企業が拠点を構える「企業サイト」、新技術や新製品を試せる「実証スペース」、作品展示などに使われる「アートコラボスペース」、そして地域イベントも行われる「イベント広場」など、多彩なスペースが点在。
アイデアを持ち寄り、つくって、試して、見てもらう。さらに、そこで生まれた出会いをビジネスへ。交流から実証、発信までを同じ場所でつなぐ、まさにイノベーションの拠点です。

そんな『ATVK』について案内してくれたのは、京都の公益財団法人職員として、同施設を牽引する支所長の岡田さん。『HESTA大倉』の担当・和田さんも同席して、その成り立ちや現在の取り組みをひも解いていきます。
『ATVK』に入居する企業は、『HESTA大倉』をはじめとする全10社。化粧品に電力マネジメント、デジタルサイネージやVR、水耕栽培、対話型AIなど、その領域は実にさまざま。
「業種も規模も内容も、本当にバラバラ。でも、だからこそ面白いんです」と岡田さん。普段なら接点のない企業同士が同じ場所に集まり、そこへ大学やアーティストなども加わることで、まだ見ぬ協業のきっかけに。
ニューヨークファッションウィーク/大阪・関西万博 京都パビリオンにて。
『ATVK』で生まれた協業のひとつが、入居企業『濵田プレス工藝』と京都大学・土佐教授によるコラボレーション。金属加工を本業とする同社が、新領域として取り組むLEDやデジタルサイネージと、ファッションのアイデアが結びつきました。
「『濵田プレス工藝』さんは金属加工の会社ですが、新領域としてLED照明やデジタルサイネージにも取り組んでいます。そして『ATVK』に参画したことで京都大学の土佐先生と出会い、『LEDを人が着られるような形にできないか』というところから軽量化を進め、実際にモデルさんが着て歩けるドレスがつくられた。それが『ニューヨークファッションウィーク』で披露され、大阪・関西万博の京都パビリオンにも登場しました。『ATVK』でのマッチングから新たなプロダクトへとつながった好例ですね」(岡田さん)

こうした個別の出会いを後押しする仕組みとして、フェムテック、子どもの能力開発、ロボティクス、アートなど、関心分野ごとの「部会」も展開。企業や大学などがそれぞれのテーマで交流を重ね、実証や事業化、産学連携へとつなげる仕組みです。
「入居企業と地域企業、大学などとの新たな接点をつくる交流イベントも開催しています。中でも『ビジネス交流博』では、入居企業10社の取り組みを地域の企業や大学の方々に紹介して、関心のあるところ、コラボできそうなところを募りました。入居企業同士でも、それまであまり横のつながりがなかったので、ここで初めて知り合うケースもあって。そこから10数件ほど、プロジェクトにつながりそうな動きが生まれています」と岡田さん。
テーマを起点に人が集まり、交流から新たな協業へ。そんな“次のきっかけ”を生み出すのも、『ATVK』の役割のひとつ。

『ATVK』がひらかれているのは、企業や大学だけではありません。地域との接点づくりも、大切な役割のひとつ。その代表的な取り組みが、子どもたちにものづくりや企業の活動を体験してもらう『京都子ども探究博』。教育委員会を通じて地域に案内し、前回は約1,000人が来場。入居企業の取り組みを知ってもらう機会にもなっています。
「もともとマクセルの工場敷地の一部で、道路との間を新幹線が通っていることもあり、地域の方からは少し見えにくい場所なんです。だから、こうしたイベントを通じて、まず知ってもらうことが大切。地元商工会のイベントにも場所を使っていただいていますし、地域で活動するアーティストの方々ともつながって、新しい取り組みに広げていければと思っています」(岡田さん)
新時代の産業を生み出すべく、10年という期間で進められているプロジェクト『ATVK』。入居企業の拠点も揃い始め、ここからは、この場所をどう活用し、成果へつなげていくかが次のテーマに。
「まずは知ってもらって、ここに来てもらう。そして実際に使ってもらう。そこから新しいマッチングが生まれ、成果につながり、その成果を見せることでさらに広げていく。そんな循環をつくっていきたいと思っています」と岡田さん。
そんな『ATVK』、公式資料では「新たな産業やくらしがはじまる巨大な実験場」と表現。異なる企業や人が交わるこの場所から、次はどんなアイデアが生まれるのか。これからの展開にも注目です。

アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)
住所:京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字鏡田30番地1 MAP
URL:https://atvk.kyoto/
Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
▼関連記事