2026.07.24
標高約700mの高原都市、長野県佐久市にて、地酒の意味を見つめながら酒づくりを続ける『伴野酒造』。そんな明治34年創業の老舗酒蔵を、『ザ グランリゾート エレガンテ軽井沢』での取り扱いに向け、同ホテル料理長&支配人とともに訪問。6代目代表であり杜氏も務める伴野さんに、佐久の水と米が育む酒の個性、そして料理とともに味わう日本酒の魅力を伺いました。

伴野酒造
代表/杜氏_伴野貴之さん
明治34年創業の酒蔵『伴野酒造』の6代目。東京農業大学醸造学科を卒業後、都内外食企業での勤務を経て、20代前半で蔵へ。現在は代表でありながら酒づくりの現場にも立つ蔵元杜氏として、佐久の地酒づくりに向き合っている。
目次

全国的にも酒蔵が多い地域として知られる、長野県佐久市。そんな酒づくりの町に、明治34年から蔵を構える『伴野酒造』。創業から120年以上の長きに渡り、佐久の風土とともに酒づくりを続けてきた老舗酒蔵です。
その背景にある蔵の考え方を伺うため、早速、蔵の中へ。

蔵の中を案内してくれたのは、6代目の代表でありながら、酒づくりの現場にも立つ蔵元杜氏として、日々の酒づくりに向き合う伴野さん。
「実は佐久って、全国的に見ても酒蔵が多い地域で、市内だけでも11軒ほどの酒蔵があるんです。うちも明治34年の創業以来、この土地で酒づくりを続けてきた蔵のひとつで、昔は新潟の越後杜氏の方々に来ていただきながら酒をつくっていました。ただ、時代とともに酒づくりのあり方も変わっていく中で、私自身、新潟・長岡出身の杜氏さんのもとで3年間学び、現在の代表兼杜氏という立場に至っています」。
蔵元杜氏から直接話を聞くという貴重な経験に、真剣に耳を傾ける島内料理長。

その長い歴史とは裏腹に、現代的な清潔感のある蔵の中で伴野さんが話してくれたのは、酒づくりに向き合ううえで大切にしていること。
「蔵を率いる代表でありながら、自分で酒づくりもしていく。それは5代目までにはなかった立ち位置です。だからこそ、“ここで酒づくりをしている意味”をもう一度考えるようになりました。そうして“地酒”という言葉の本質を改めて考え抜いた結果、やはり大切なのは、その土地にしかない水と米でつくることだな、と。だからうちでは、地元の水を使い、長野県産の酒造好適米に限って酒をつくっています。あとは、酒蔵としてやるべき基本的なことを、一つひとつ丁寧に積み重ねる。それが、自分たちの酒づくりの基本です」。
蔵を見学した後は、店舗へ移動。テーブルに並んだ酒を前に、酒づくりの考え方について伺いました。
「うちでは、“ブランドコンセプト”ではなく、“ブランドテーマ”という言い方をしています。なぜなら、コンセプトというと、市場から逆算して決めるもののように感じますよね。市場がこうだから、こういう層に向けて、こういうコンセプトでつくっていく、みたいな。でも、自分たち主導で酒をつくるなら、自分たちで決めたテーマを追いかけていくべきだと思うんです。『澤の花』は、心がすこし安らぐ酒。『Beau Michelle』だったら、心がすこしオドル酒。そんな自分たち発信のテーマを設定して、味わいとして表現していきたいと思っています」。

そんな伴野さんの言葉を噛み締めつつ、それぞれの香りや口当たりを確かめる、 『ザ グランリゾート エレガンテ軽井沢』料理長島内さんと、支配人のプンさん。ホテルで提供する1杯としてどう届けるか。味わいだけでなく、その背景にある造り手の考えにも耳を傾けます。
「造り手の意思がしっかりしたお酒は、口に合う・合わないはあるとしても、どこか心に響くものがあると思うんです。自分たちが表現したい酒の味を、きちんとお客様に届ける。そのためにも、中途半端なことはやらない。それがうちのスタイルです」と、伴野さん。

最後に、今回試飲させていただいた3本について、それぞれの味わいを伴野さんに伺いました。
〈澤乃花 辛口純米 花ごころ〉
「うちでいう一番スタンダードなお酒。冷たくしても常温でも、すこし燗をつけても楽しめるように軽めの設計にしながら、お米の味があって、香りは比較的穏やかなタイプです」。
〈Beau Michelle〉
「基本的には冷やして飲んでいただくのがおすすめ。すこしブドウをかじったような、新鮮な果実味があるイメージです。アルコール度数も低めなので、日本酒にあまり慣れていない方にも楽しんでいただきやすいと思います」。
〈澤の花 純米大吟醸 夕涼み〉
「夏用に仕立てた季節限定のお酒です。長野県産の美山錦を使っていて、すこしシャープで、ストレートな旨みがある印象ですね」。

そうして幕を閉じた、今回の蔵元めぐり。印象に残ったのは、酒の味わいだけではありませんでした。
それは、佐久という土地に根ざすこと。地酒という言葉を、水と米から考えること。自分たちが届けたい思いを、酒という液体に落とし込むこと。伴野さんの言葉をたどるほど、グラスの中の一杯には、蔵の姿勢そのものが映っているように感じます。
料理に寄り添いながら、その土地の背景まで味わう。『ザ グランリゾート エレガンテ軽井沢』での食事に『伴野酒造』の日本酒が加わることで、軽井沢で過ごす時間に、佐久の風土と酒づくりの物語がそっと重なっていきます。

伴野酒造
住所:長野県佐久市野沢123 MAP
URL:https://sawanohana.com/
Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
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