2026.05.29
明治8年創業の老舗であり、『ザ グラン リゾート エレガンテ淡路島』で開催予定の「日本酒ペアリングフェア」でもそのお酒を提供してくれる、淡路島の酒蔵『千年一酒造』を訪問。
案内人は、同社8代目の上野山 善彦さん。フェアの料理を監修する同ホテル亀井料理長も同行し、淡路島に根ざした酒づくりと、料理に寄り添う日本酒の魅力に触れていきます。

千年一酒造
代表・上野山 善彦さん
『千年一酒造』の8代目。淡路島・洲本のアーケード街で洋服店を営んだのち、同酒造へ。現在は代表、そして杜氏として、淡路島に根ざした昔ながらの酒づくりを受け継いでいる。全国新酒鑑評会、2000年・2001年・2011年・2012年・2015年=金賞受賞。
目次



淡路島・淡路市に蔵を構える『千年一酒造』。明治8年の創業以来、150年以上にわたり淡路島の酒文化を受け継いできた老舗酒造です。
『ザ グラン リゾート エレガンテ淡路島』で開催予定の「日本酒ペアリングフェア」では、同酒造の日本酒を料理とともに提供。淡路島の食材に、淡路島で造られた酒を合わせる。そんなシンプルで贅沢な楽しみ方をより深く知るため、蔵の中へ案内していただきました。
蔵を回りながら説明をする8代目当主、上野山 善彦さん。
『ザ グラン リゾート エレガンテ淡路島』料理長の亀井謙太郎さん。
大きなタンクが並ぶ蔵の中で、上野山さんは『千年一酒造』の現在について、こう話してくれました。
「うちのような小さな蔵は、酒蔵というより、造り酒屋と言ったほうがイメージに合うかもしれません。以前はうちも、但馬から出稼ぎの杜氏さんに来ていただいていたんですけどね、もう引退する、と。だけど杜氏を目指す若い人が少なく、跡取りがいない。だったら自分で杜氏をやろうと。うちのように、社長や家族が自分たちで造る小さな蔵は、昨今とても増えていますね」。
とはいえ、もともとは洋服店を営んでいたという上野山さん。酒づくりの世界へ入るハードルは、決して低くなかったはずです。
「どこで修業したかと聞かれますが、私は外の蔵に入ったことはありません。ずっとここにいますしね。だけど、間近で造りを見てきたし、自分なりに勉強もしてきた。それに今の時代、情報はいくらでもありますから、それらをベースに現場に立ち続けて学びながら、いまに至ってます」。
フェアの料理を監修する亀井料理長も、その言葉に興味津々。料理に合わせる1杯が、どんな人の手で造られているのか。蔵を巡る時間の中で、その輪郭が少しずつ見えてきました。
酒づくりの難しさは、毎年変わる米の状態に合わせること。上野山さんは言います。
「いろんな情報やデータはありますけど、米が毎年違うんです。夏の気温が高いと、米は硬くて溶けにくくなるし、逆に低いとよく溶ける。そこを臨機応変に合わせていくのが、僕らの仕事なんです」。
そしてもうひとつ、印象的だったのが、酵母の話。
「結局、酒を造っているのは酵母ですからね。人間ができるのは、その酵母が機嫌よく働けるように持っていくこと。米の溶け方と酵母のバランスを見ながら、温度と水で調整していく。甘い、辛いも、そこで出てくるんです」。

左から〈特別純米酒〉〈純米酒 -穂 Minori-〉〈純米大吟醸酒〉。
そんな『千年一酒造』の数あるラインナップから、今回フェアで提供予定の3種がこちら。それぞれの味わいについて、上野山さんに伺いました。
「〈特別純米酒〉は、この中ではもっともすっきりしたお酒。アルコール度数も少し低めにしているので、飲みやすさもあると思います。〈穂〉は希少な淡路島産山田錦の純米酒で、辛口でしっかりめ。多少インパクトのある料理でも、負けずにいけるんじゃないでしょうか。 〈純米大吟醸酒〉は、料理の邪魔をしないタイプのお酒ですね」。

上野山さんの説明を受けつつ、試飲用のお猪口を傾けながら、フェアでの料理構成をイメージする亀井料理長。料理との相性の幅を確かめるように、ひとつひとつの酒と向き合います。
「食材や味つけの違いによって、お酒を含んだときの感じ方も変わってくると思うんです。淡い味わいから濃厚な味わいへ、食べ方の変化も含めて、お酒との相乗効果を楽しんでもらえたらと思っています」。
最近めっきり日本酒好きになってきたというHESTA大倉広報・イノシタも、直売所でお気に入りの1本を吟味。
試飲も終え、最後に上野山さんが話してくれたのは、日本酒と料理の関係について。
「私は、酒は料理の脇役だと思っています。料理を食べた後に、少しだけ日本酒をいただく。そうすると、料理の旨みの余韻が残りながら、口の中が整っていく。これこそ日本酒の役割だし、酒と料理のペアリングの根本ではないでしょうか」。
主張しすぎるのではなく、料理のそばで静かに味わいを支える。それこそが『千年一酒造』が提案する酒らしさなのかもしれません。
淡路島で造られた酒を、淡路島の食材とともに味わう。そこには、150年以上続く酒造の歴史と、料理に寄り添う日本酒へのまなざしがありました。

千年一酒造
住所:兵庫県淡路市久留麻2485-1 MAP
URL:https://sennenichi.co.jp/
Credit
Photo_Taijun Hiramoto, Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
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